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不動産業務に役立つ近年の民事信託・家族信託と過去の信託の違い

不動産業務に役立つ近年の民事信託・家族信託と過去の信託の違い

不動産業務に役立つ近年の民事信託・家族信託と過去の信託の違い

 

不動産業務での質問が多くなっているのが家族信託です。

これは以前古くからあった商事信託と同じ構造ですが目的や費用効果が全く異なります。

今日は土地建物の所有者さん向けにわかりやすくお話しします。

 

 

古くからあった信託制度 収益物件

不動産は実際に使うものだけでなく、投資物件も多くあります。

15年以上前は不動産ファンドが人気でした。

この際多く利用されたのが信託受益権です。

 

収益物件投資物件は利益を受ける権利が重要

投資物件について信託受益権が多く用いられたのは、

利益の配当を受ける権利が重要だったからです。

自分で管理もしません。

気分で行うのではなく利益追求のみです。

 

信託法の改正で始まった近年の民事信託通称家族信託

大きな目的は戦後民法が改正され、

相続においても相続人が均等に分ける制度がつくられたため、

遺産分割協議が円満に行われなければ、共有となります。

相続人の増加による不動産管理問題の発生

また医療の発達で平均寿命も80代になりこれにつれて、

認知症及び認知症による不動産活用の凍結問題等現行法での解決が難しいことが分かってきました。

この不動産問題、高齢化問題解決の手法として信託法が改正されました。

 

費用面で使いやすい家族信託

今までは信託は信託銀行等利益目的で行われ金額が高いわりに

サービス内容が低いとの批判があり、一般には普及しませんでした。

この改正により金額面でも、サービス面でも格段の使いやすさとなる可能性があるのが、

営利目的でない民事信託です。

大半が家族の誰かに委託するため家族信託といわれています。

 

 

家族信託は何の役に立つ?

一番一般的にわかりやすいのは認知症対策です。

土地建物の所有者さんである親が認知症になれば、実質的法律行為はできなくなります。

法律に基づき成年後見人制度の利用となります。

この際のデメリットは、費用です。

一生涯後見人に対し費用が掛かります。

年間30万円としても20年あれば600万円です。

またもっと大きな問題は裁判所の介入です。

実際には後見人が業務を行いますが、常識的判断すらできません。

もちろん相続対策も、不動産売却も、古いビルの建て替えもできません。

このため不動産が放置され、家族は大変な思いをします。

 

家族信託で認知症になっても運用権限は委託者に移っている

家族信託では、所有権も移転し、実際の運用や売却の決定権も

委託者に移ります。

このため認知症になっても家族は安心です。

 

家族信託は共同所有によるトラブルと平等分割の民法の調整機能

実際の不動産業務等は単独決定しないとできません。

しかし権限が平等では迅速な決定ができません。

しかし信託制度御利用で決定権は委託者に移ります。

ただし利益の配分権これを信託受益権といいますが、これは相続の対象になります。

民法の原則と異なるのは、信託利用で他の相続人は金銭要求のみとなります。

 

相続人の希望の実現機能

自分の財産を誰にどう分けるかは、誰しも悩むことです。

この際障害は民法の規定です。

民法の規定は、個別の事情等や所有者さんの事情や気持ちを考えて作っているわけではありません。

このため所有者さんの希望の実現を邪魔していました。

この信託法の改正でより希望の実現がしやすくなりました。

たとえば一例が将来の相続まで決められるようになりました。

たとえば信託受益権は妻に妻死亡後は次男にという感じです。

 

 

民事信託の限界

民事信託は民法の規定をすべて覆すことはできません。

代表的なものは遺留分でしょう。

最低限相続人に配分される権利です。

 

民事信託の仕組み

所有者が信頼する家族に運用を委託し運用の利益は委託者が取得する。

このパターンが一番多く基本形です。

この際所有権を委託者に移転させます。

 

具体的な財産を特定して行います。

登記も必要です。

 

委託者の死亡の相続

信託内容によって受益権が移動します。

 

 

生前贈与との大きな違い

生前贈与と大きく異なるのは、委託者としても地位を有する点です。

実質的所有者ですね。

このため信託で所有権が移転しても贈与税の対象となりません。

 

遺言との違い

遺言は決定権者が死亡後始まりますが信託は生前に始まります。

このため生前にうまくいくかどうか見守ることができます。

 

実情の問題点

残念ながら家族内のこととはいえ、一般の方が自分で行うのは無理です。

このため専門家報酬がかかる点が問題です。

また始まって期間が短いため詳細の事案について裁判所で判断されていませんので

法律の解釈があいまいな点です。

 

 

不動産生前贈与運営認知症対策相談会実施中

いずれにしても不動産管理運営に関しては事前の対策は重要ですし

様々な対策の検討が重要です。

不動産対策の相談会を行っていますので、希望があれば電話かメールで相談ください。

 

平成31年3月31日

不動産コンサルタント

森本和彦

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